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パブコメ提出しました【特定不法行為等被害者特例法】

徒然なるままに

2024年1月4日から2月3日まで、下記の意見公募(パブコメ)が実施されました。

特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律に基づく指定宗教法人及び特別指定宗教法人の指定に関する運用の基準案に関するパブリック・コメント(意見公募手続)の実施について

特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律に基づく指定宗教法人及び特別指定宗教法人の指定に関する運用の基準案に関するパブリック・コメント(意見公募手続)の実施について|e-Govパブリック・コメント
パブリックコメントの「特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律に基づく指定宗教法人及び特別指定宗教法人の指定に関する運用の基準案に関...

問題はキチンと指摘すべきということで、6つの点で提出しました。この記事ではその論点についてまとめました。

運用基準案第一(特例法第7条関連)

 基準案(抜粋) 要らない/画像

論点1.「被害者」の定義が不明確

旧統一教会問題では当たり前のように「被害者」と表現していますが、法律で裁くには「定義」が必要です。

特例法第7条で指定宗教法人にする要件に「被害者が相当多数存在」としていますが、ここにはその定義がないので基準案第一2.(1)で定めています。

特例法第7条

(指定宗教法人の指定)

第七条 所轄庁は、対象宗教法人が次のいずれにも該当すると認めるときは、当該対象宗教法人を指定宗教法人として指定することができる。

 当該対象宗教法人に係る特定不法行為等に係る被害者が相当多数存在することが見込まれること。

運用基準案第一 指定宗教法人の指定(特例法第7条)

2.特例法第7条第1項第1号の要件について

 (1)「特定不法行為等に係る被害者」関係

①「特定不法行為等に係る被害者」は、特定不法行為等に関し、法律上の権 利(例えば損害賠償請求権など)を有する、又は有し得る者である。

②「特定不法行為等に係る被害者」には、特定解散命令請求等の原因となっ た行為に係る被害者と、これらと同種の行為に係る被害者の双方が含まれ、特定解散命令請求等に当たり請求者等が認知した被害者(請求等事由の内容 となった特定の事実・行為における被害者)に限らず、請求等の時点では把 握されていなかった同種の行為による被害者も、その対象となる。

③ ①及び②に当たる者は、賠償請求等を行う意向が未だ明確でない者も含 め、「特定不法行為等に係る被害者」に該当することとなる。

①「法律上の権利を有する者」は明確です。例示している「損害賠償請求権」というのは実際に存在しているものです。

しかし「(法律上の権利を)有し得る者」とは一体何のことでしょうか。どんな状況なら「有し得る」のか、どんな人は「有し得ない」のか全く不明です。こんなあやふやな定義では基準として不適切です。

②では被害者を

・特定解散命令等の原因となった行為に係る被害者

・同種の行為に係る被害者

・請求等に当たり請求者等(文科省等)が認知した被害者

・把握されていなかった同種の行為による被害者

としていますが、もはや誰でも被害者に含めようとしています。これでは「被害者」を自称する人も出てくるでしょう

極めつけは③

①及び②に当たる者は、賠償請求等を行う意向が未だ明確でない者も含め

です

この基準によれば、「当該不法行為等」と定められた行為を受けたものは、本人の自由意思によるものであっても「被害者」になります。

私が私の自由意思で教会に対してした行為(献金等)によって、私の知らないところで「被害者」としてカウントされてしまうかもしれません。

②や③の要件は特例法第7条の「相当多数存在」の判断にも影響します。

私の意思に反して「被害者」と決めつけられ、その結果「被害者が相当多数存在」となれば、省庁による恣意的な処分ができるようになってしまいます。

なので「被害者」の定義は「法律上の権利を有する者」と明確にすべきです

論点2.「相当多数存在することが見込まれること」の定義が不明確

特例法第7条

(指定宗教法人の指定)

第七条 所轄庁は、対象宗教法人が次のいずれにも該当すると認めるときは、当該対象宗教法人を指定宗教法人として指定することができる。

 当該対象宗教法人に係る特定不法行為等に係る被害者が相当多数存在することが見込まれること。

運用基準案第一 指定宗教法人の指定(特例法第7条)

2.特例法第7条第1項第1号の要件について

(2)「相当多数存在すること」関係

「相当多数存在すること」について、どの程度の人数がいればこれに当たると認められるかは、特例法の趣旨を踏まえつつ、特定解散命令請求等に係 る個々の事案に即して個別具体的に判断するが、一般的な事案では、数十人 程度の被害者があれば、「相当多数存在する」に該当することとなる。

(3)「相当多数存在することが見込まれること」関係

①「相当多数存在することが見込まれること」については、個々の被害者を特定して、それらが相当多数存在することを示す必要はなく、相当多数存在する可能性があれば足りる。

②当該「見込み」についての判断は、例えば、行政機関等に寄せられた相談やその他の情報から、被害を訴える者が相当多数いる相応の可能性があることを確認する等により行う。

まず(2)で「相当多数」を「数十人程度」としていますが根拠が不明です。

さらに(3)「見込まれる」としている点で、実際の被害者が存在していなくても「被害者と見込まれる者が数十人」いれば要件を満たし得る基準となっています

論点1.で指摘した通り、私も「勝手に」被害者にされるおそれがあるなか、「数十人程度」という根拠不明の数値で判断されてしまっては運用として不適切です。

しかも(3)①「個々の被害者を特定して、それらが相当多数存在することを示す必要はな」いので何とも杜撰な基準です。

また「可能性」の判断については②「例えば、行政機関等に寄せられた相談やその他の情報から、被害を訴える者が相当多数いる相応の可能性があることを確認する等により行う」としか示されていません。

これでは被害者の定義を明確にしないまま被害者に認定することになり、「相談件数が多い」という理由で「相当多数存在することが見込まれる」という要件を満たすおそれがあります。

政治的に都合の悪い宗教法人があれば、相談をでっちあげて指定宗教法人にできてしまうかもしれません。

もっと明確に、どのような相談や情報から判断するのか示すべきです。

なので「相当多数存在すると見込まれること」に対して、「相当多数」とする数値の客観的な根拠と、「被害者と判断する基準」について明確にするべきです。

・論点3.「第7条第1項第2号の要件」の判断基準が形骸化している

特例法第7条

(指定宗教法人の指定)

第七条 所轄庁は、対象宗教法人が次のいずれにも該当すると認めるときは、当該対象宗教法人を指定宗教法人として指定することができる。

 当該対象宗教法人の財産の処分及び管理の状況を把握する必要があること。

運用基準案

第一 指定宗教法人の指定(特例法第7条)

3.特例法第7条第1項第2号の要件について

(1)特例法の趣旨に鑑みれば、特定解散命令請求等がなされており、かつ、特定不法行為等に係る被害者が相当多数存在することが見込まれるような宗教法人であれば、一般的には、財産処分・管理の状況の把握の必要性が認められることとなり、第7条第1項第2号の要件に当たる。

(2)例えば、被害者により更なる賠償請求等が行われる見込みの程度、対象宗教 法人における財産の内容・構成、過去の財産移転等の状況などいずれの面から見ても、対象宗教法人の財産状況への関心が生じる原因がないような状況に あると考えられる場合には、財産処分・管理の状況の把握の必要がないものと して、当該要件には当たらないこととなる。

(1)の基準案を読むと、結局ほとんど基準案第一2.だけで判断していることになります。

特例法第7条では各号について「いずれにも該当」と言っているのですから、独立して判断しなければいけないと思います。

(2)で「財産状況への関心が生じる原因がないような状況にあると考えられる場合」は要件に当たらないとしていますが、どのような根拠に基づいて判断するのか不明です。

要件に該当しないものを例外的に判断するのではなく、むしろ「どのような場合、どのような根拠によって要件を満たす」と基準を定めるのが自然です。

「財産処分・管理の状況の把握の必要性が認められる」とはどのような場合か、客観的な根拠に基づいて判断されるべきです。

特例法第7条二項を形骸化させずに「財産処分・管理の状況の把握の必要性が認められる」と判断するときの根拠を客観的に示して定義するべきです。

○運用基準案第二(特例法第12条関連)

基準案(抜粋) 要らない/画像

・論点4.「財産の隠匿又は散逸のおそれがあること」の判断基準が不明確

特例法第12条

(特別指定宗教法人の指定等)

第十二条 所轄庁は、対象宗教法人が次の各号のいずれにも該当すると認めるときは、当該対象宗教法人を特別指定宗教法人として指定することができる。

 第七条第一項各号のいずれにも該当すること。

 当該対象宗教法人の財産の内容及び額、その財産の処分及び管理の状況その他の事情を考慮して、当該対象宗教法人について、その財産の隠匿又は散逸のおそれがあること。

運用基準案

第二 特別指定宗教法人の指定(特例法第12条)

3.第12条第1項第2号の要件について

(2)「その財産の隠匿又は散逸のおそれがあること」関係

①「その財産の隠匿又は散逸のおそれがあること」については、対象宗教法人が現にその財産を隠匿し、又は散逸させているおそれがある場合、及びそれら の行為を行おうとしているおそれがある場合が、これに該当する。当該「おそ れ」があると認められるには、財産の隠匿等の処分が実際になされることまで の必要はないが、抽象的なおそれでは足りず、財産を隠匿し、又は散逸させる行為が行われた、又は行われることについて、一定の蓋然性があると認められることが必要である。

②保有財産を減少させる行為や、海外へ移転する行為、財産の流動性を高める行為(例えば、不動産の金銭への換価など)などが、現に行われ、又は行われ ようとしている場合には、当該蓋然性が認められる場合に当たり得るものとし て、第2号の要件への該否の検討を行う。

①「財産を隠匿し、又は散逸させる行為が行われた、又は行われることについて、一定の蓋然性があると認められることが必要」としながら

②「保有財産を減少させる行為や、海外へ移転する行為、財産の流動性を高める行為(例えば、不動産の金銭への換価など)などが、現に行われ、又は行われようとしている場合には、当該蓋然性が認められる場合に当たり得る」

としています。

例えば、古くなった車を売った、以前から契約を進めていた建物や土地を売った、といった財産権に基づく「通常の財産処分」そのものが「財産の隠匿・散逸させる行為として蓋然性がある」と判断される可能性があるということです。

実際に「おそれがある」と判断される基準が示されていないので、何かしらの財産処分をした時点で要件を満たす、と言われるかもしれません。

「財産の隠匿又は散逸のおそれがある」と判断するときの根拠を客観的に示して定義するべきです。

また、家庭連合は供託金100億円程度を提案しましたが、賠償等で想定される必要額を供託金として預かれば「財産の隠匿又は散逸のおそれ」はありません。

したがって「被害想定額を限度とするような供託金があれば当該要件には当たらない」とするべきだと思います。

○その他(条項追加)

特例法の要件判断の不明確な(=恣意的運用の可能な)基準案も問題ですが、基準案で考慮されていない問題もあります。

それは、特例法の運用上の問題、「指定宗教法人」や「特別指定宗教法人」とする際の過程や決定による影響について考慮していない点です。

・論点5.特例法第13条第2項第2号に関して罰則規定を設けるべき

宗教法人法25条

(財産目録等の作成、備付け、閲覧及び提出)

第二十五条 宗教法人は、その設立(合併に因る設立を含む。)の時に財産目録を、毎会計年度終了後三月以内に財産目録及び収支計算書を作成しなければならない。

 宗教法人の事務所には、常に次に掲げる書類及び帳簿を備えなければならない。

 規則及び認証書

 役員名簿

 財産目録及び収支計算書並びに貸借対照表を作成している場合には貸借対照表

 境内建物(財産目録に記載されているものを除く。)に関する書類

 責任役員その他規則で定める機関の議事に関する書類及び事務処理簿

 第六条の規定による事業を行う場合には、その事業に関する書類

 宗教法人は、信者その他の利害関係人であつて前項の規定により当該宗教法人の事務所に備えられた同項各号に掲げる書類又は帳簿を閲覧することについて正当な利益があり、かつ、その閲覧の請求が不当な目的によるものでないと認められる者から請求があつたときは、これを閲覧させなければならない。

 宗教法人は、毎会計年度終了後四月以内に、第二項の規定により当該宗教法人の事務所に備えられた同項第二号から第四号まで及び第六号に掲げる書類の写しを所轄庁に提出しなければならない。

 所轄庁は、前項の規定により提出された書類を取り扱う場合においては、宗教法人の宗教上の特性及び慣習を尊重し、信教の自由を妨げることがないように特に留意しなければならない。

特例法第13条

(財産目録等の閲覧の特例)

第十三条 特定不法行為等に係る被害者は、宗教法人法第二十五条第三項の規定により同条第二項各号に掲げる書類又は帳簿の閲覧を請求する場合のほか、当該特定不法行為等に係る対象宗教法人が特別指定宗教法人の指定を受けたときは、所轄庁に対し、当該対象宗教法人に係る次に掲げる書類の写しの閲覧を求めることができる。

 第十一条第一項の規定により読み替えて適用する宗教法人法第二十五条第四項の規定により提出された同条第二項第三号に掲げる書類

 宗教法人法第二十五条第四項の規定により特別指定宗教法人の指定前に提出された同条第二項第三号に掲げる書類(特別指定宗教法人の指定があった日の属する会計年度の前会計年度(同日が当該特別指定宗教法人の会計年度終了後四月以内の日である場合において、当該前会計年度に係る書類が提出されていないときにあっては、前々会計年度)に係るものに限る。)

 前項の規定により閲覧をした特定不法行為等に係る被害者は、当該閲覧により知り得た事項を、当該特定不法行為等に関する自己の権利を実現する目的以外の目的のために利用し、又は第三者に提供してはならない。

宗教法人法25条の特例として被害者に財務書類等を閲覧させることになっています。

一方で特例法第13条2項2号で定めた目的外利用又は第三者への提供禁止について、罰則規定がない。これは事実上特別指定宗教法人の財務書類を公開していることになります。

宗教法人の財産権等の著しい侵害となり、不測の被害をもたらすことになります。「被害者」を通じてマスコミに漏洩しても罰することができません。

「被害者救済」が趣旨目的であるはずですが、明らかにその範囲を逸脱した権利侵害です。

宗教法人の権利侵害とともに信教の自由への挑戦ともなる、重大な問題であると思います。

また前提となる「被害者」の定義が不明確であるため「被害を自称する者」にまで閲覧させる可能性があります。

もはや行政(国)によって宗教法人の情報が公開されることと同義であり、政治による宗教介入と言えるかもしれません。

このような事態が起こらないよう、特例法第13条第2項第2号に関して罰則規定を設けるべきです。

・論点6.宗教法人審議会の議事録公開の条項追加

特例法第7条

(指定宗教法人の指定)

第七条 所轄庁は、対象宗教法人が次のいずれにも該当すると認めるときは、当該対象宗教法人を指定宗教法人として指定することができる。

 前項の規定による指定宗教法人の指定(以下単に「指定宗教法人の指定」という。)をしようとする場合においては、所轄庁は、当該所轄庁が文部科学大臣であるときはあらかじめ宗教法人審議会に諮問してその意見を聴き、当該所轄庁が都道府県知事であるときはあらかじめ文部科学大臣を通じて宗教法人審議会の意見を聴かなければならない。

指定宗教法人に指定する場合、特例法第7条第2項で宗教法人審議会の意見を聴くことになっていますが、この時の議事録について全て公開する旨の規定をするべきです。

指定宗教法人又は特別指定宗教法人は財産権等の制限等が行われるものであり、その定義が不明確な上、趣旨目的を逸脱した影響が懸念されます。

さらに不透明な審議による決定がなされることになれば、政治的、あるいは特定の集団・団体にとって不都合な宗教法人をターゲットにした恣意的な運用につながります。

宗教法人への不透明な経緯による制限は、信教の自由の侵害に直結する大問題です。

発言者、発言内容などで、公開によって当事者等の利益を害すると思われる場合などは、せめて部分的に非公開するなどの措置を行った上で公開すべきです。

また議事録の一部又は全部を例外的に公開しない場合でも、非公開とするにいたった理由、根拠は開示すべきです。

財産権、信教の自由に関わる決定である以上、その審議過程は国民に広く公開されるべきで、宗教法人審議会の議事録公開についての条項を追加すべきです。

○まとめ

家庭連合のホームページで表明がありましたが、今回の特例法の制定・運用は2022年の質問権行使から始まって、過料、解散命令請求と何度も無理を押し通して出てきたものです。

世界平和統一家庭連合 公式サイト
幸せな未来へ家庭連合は変わり続けます 世界平和統一家庭連合 公式サイト

信教の自由は、日本も批准する国際人権B規約によって世界的に保障されている権利であり、憲法によっても保障された権利です。だからこそ宗教法人法ではその権利に配慮して制定されています。

特例法がしようとしているのはその宗教法人の権利を制限するものであるのですから、本来は特例法ではなく宗教法人法の法改正を、慎重な議論によって行うという手順を踏むべきです。

(この法律の目的)

第一条 この法律は、宗教団体が、礼拝の施設その他の財産を所有し、これを維持運用し、その他その目的達成のための業務及び事業を運営することに資するため、宗教団体に法律上の能力を与えることを目的とする。

 憲法で保障された信教の自由は、すべての国政において尊重されなければならない。従つて、この法律のいかなる規定も、個人、集団又は団体が、その保障された自由に基いて、教義をひろめ、儀式行事を行い、その他宗教上の行為を行うことを制限するものと解釈してはならない。

政府は、反対派の弁護士等の意見ばかり聞き、マスコミの非論理的な批判と圧力に屈して、文科省文化庁は白いものを黒とするために苦肉の策に走っています。

一連の手続きは日本の民主主義、信教の自由が試されるものだと思います。

裁判官はじめ関係者は冷静な判断をするように願うばかりです。

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