2023年10月13日(金)、日本政府から文部科学省を通して東京地方裁判所に世界平和統一家庭連合の解散命令請求が出されました。しかし、解散命令どころか、質問権の行使すらまともな法的根拠がない暴挙でした
これは、偏向報道に流された腑抜けた政府・首相によって、不可能を押し通した文科省文化庁・文科大臣の愚行であると思います
家庭連合のホームページには、福本弁護士らによる意見陳述書が掲載されています。ほとんど法律に触れてきてない私にでも理解できる、とても分かりやすい内容でした
数少ない公平な弁護士や家庭連合から意見書が出されてきたにも関わらず、その内容を検証しようとか論破してやろうという事もできないのが日本のメディアです
何人もの弁護士がテレビに出演されますが、意見書の1つでも法的に言い返せないのでしょうか
今回はそうした意見書の一つを読んでみたいと思います。拙い理解かもしれませんが、質問権行使、過料、解散命令請求がいかに杜撰な運用かがわかると思います
上記意見陳述書(2)より、第1 「民法の不法行為が法81条の定める『法令に違反』すること」に対する反論 を読んでいきます
結論は、政府及び文科省は、薄弱、不明な根拠と杜撰な条文解釈に基づいて処分をしようとしているということです
ポイントは以下の4つです。順番にみていきます
- 質問権行使の根拠となる法令を特定していない
- 宗教法人法81条に定める「法令違反」の解釈誤り
- 法81条1項1号の立法意思の解釈誤り
- 不法行為事案と解散処分のアンバランス
質問権行使の根拠となる法令を特定していない
質問権は宗教法人法(以下、法)78条2の3号に定められています
それによると、法81条1項1号から4号に該当する疑いがある場合と書かれています
この法81条こそが解散命令について定めた条文であるので、質問権行使=解散命令に該当する疑いがある時にできる
ということです
法(報告及び質問)
第七十八条の二 所轄庁は、宗教法人について次の各号の一に該当する疑いがあると認めるときは、この法律を施行するため必要な限度において、当該宗教法人の業務又は事業の管理運営に関する事項に関し、当該宗教法人に対し報告を求め、又は当該職員に当該宗教法人の代表役員、責任役員その他の関係者に対し質問させることができる。
三 当該宗教法人について第八十一条第一項第一号から第四号までの一に該当する事由があること。
宗教法人法(昭和二十六年法律第百二十六号) 赤字は筆者
法(解散命令)
第八十一条 裁判所は、宗教法人について左の各号の一に該当する事由があると認めたときは、所轄庁、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、その解散を命ずることができる。
一 法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと。
宗教法人法(昭和二十六年法律第百二十六号) 赤字は筆者
文科省は、法81条1項1号「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと」という解散命令の要件を満たす疑いがあるとして、質問権の行使に至りました
これに対し家庭連合の反論は、「法令に違反」というならば、「何条の何に違反した」と根拠を示しなさいというものです
家庭連合の反論:質問権行使自体が違法(根拠がない)
法律意見書(2022/11/24)
文科省は「法81条の「法令に違反」には民事法上の規律や秩序に違反する行為も含まれる」としながら、法令を特定することを避けています
「民事法上の規律や秩序に違反する行為も含まれる」というのは「法令の特定」に対する回答にはなっていません
では、民事法上の規律や秩序に違反する行為とは具体的に何を指すのでしょうか
「不法行為」は民法709条以下で出てきます
民法 第五章 不法行為
(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
この条文を読めば、不法行為による「責任」について言及していますが、具体的な「規律」や「秩序」については触れられていません
つまり「民法709条違反」という概念は存在しません。だから文科省は法令の特定ができないということです
文科省は質問権行使にあたり、前提・根拠となる「法令」を特定することなく、「民事法上の規律や秩序に違反する行為も含まれる」と曖昧な理由で行っているということです
これは、「不法行為における階層的規範構造」を理解していないために起きたことだと思います
宗教法人法81条に定める「法令違反」の解釈誤り
文科省は質問権行使に対して、「不法行為における階層的規範構造」や「違法性理論」が理解できていないために、法81条の定める「法令違反」の解釈を誤っていると思われます
不法行為における階層的規範構造
もう一度民法709条を見てみます
民法 第五章 不法行為
(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
民法709条が規定しているのは「不法行為とは何か」と「不法行為による賠償責任」についてです
「不法行為」 権利又は利益の侵害
不法行為をした者は損害賠償の責任を負う
→民法709条は賠償責任を規定したものであり、不法行為自体については定められていない
だから①で述べた通り「民法709条違反」という概念が存在しません
では不法行為は何によって規定されるのかというと
1.禁止規範、命令規範
2.社会的相当性
に照らして判断されます
1.禁止規範、命令規範
刑事法規、行政取締法規といった「実定法規」
実定法規に違反=法令に違反→不法行為
2.社会的相当性
公序と呼ばれる不文の秩序=社会的相当性
社会的相当性を逸脱した→不法行為
∴法令違反を伴わない不法行為
つまり不法行為における階層的規範構造とは
・民法709条では不法行為による「賠償責任」を定め=賠償規範
・不法行為そのものは実定法規(禁止規範、命令規範)または社会的相当性に照らして判断される
という構造のことをいいます
ここでポイントとなるのは、不法行為には2つの判断基準があり不法行為が直ちに法令違反とはならないということです
「社会的相当性を逸脱」という不法行為は「法令違反」とは言いません。「法令違反」というには「何条の何に違反した」という「実定法規」が必要です
違法性理論
ある「行為」に対して「違法性」が認められる場合、その違法性の基準には2つあります。これは階層的規範構造と同じようなものです
ある行為に対して
1.禁止規範、命令規範
2.社会的相当性
のいずれかに反すると評価される時、その行為に「違法性」が認められます
ここでも2.社会的相当性の逸脱による違法性は、法令違反を伴っていません
1.禁止、命令規範による違法性が認められる行為は、権利侵害という不法行為が要件となっています。つまり、その行為は何らかの法令に違反していることになります
一方、2.社会的相当性からの逸脱による違法性が認められる行為は「不法行為類型」と呼ばれるような行為により評価されます
ややこしいのは、この不法行為類型を指して「違法・違反」と表現する点です
不法行為の階層的規範構造の場合と同じく、社会的相当性に照らして違法性が認められる場合、何らかの定められた法令に違反しているというわけではないということがポイントです
文科省の主張は
「法81条の「法令に違反」には民事法上の規律や秩序に違反する行為も含まれる」
というものでした
不法行為における階層的規範構造及び違法性理論から分かる通り、「不法行為」には法令違反を伴うものと伴わないものがあります
「民事法上の規律や秩序に違反する行為」が含まれるとしても、不法行為が直ちに「法令に違反」したとは言えず(違法性理論)、「何条の何に違反」したと「実定法規(禁止規範、命令規範)」の特定が必要です
文科省は、法81条の「法令に違反」の概念と、違法性理論における「違反・違法」の概念とを混同していると思われます
そしてそもそも「民事法上の規律や秩序に違反」という解釈が誤っています
民事法条の規律や秩序(民法709条以下)が規定しているのは「賠償規範」であって「禁止規範、命令規範」は含まれていません(階層的規範構造)。何に違反してはいけないのか(禁止)、何に従わないといけないのか(命令)を定めたものではないため、違反という概念が成り立ちません
つまり、文科省の主張は法81条の解釈から間違っているものであり、正当性がありません
法81条1項1号の立法意思の解釈
法(解散命令)
第八十一条 裁判所は、宗教法人について左の各号の一に該当する事由があると認めたときは、所轄庁、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、その解散を命ずることができる。
一 法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと。
文科省は法81条1項1号が
1.法令に違反して
2.著しく公共の福祉を害すると明らかに
という2段階で制定されている理由(立法意思)について
1.法令に違反して
は特段の限定はなく「法令と名のつくものは何でも入る」
2.「著しく」「明らかに」
という文言で相当な範囲に限定する
と解釈しています
つまり、1.は形式的な要件、2.を実質的な要件として、法律が濫用されないように制定されていると解釈している
しかしこの解釈は論理が逆です
「公共の福祉を害する」「法令に違反」という文面は
1.「公共の福祉を守るための法規範」と限定された法令に違反したことに対して
2.「著しく」「明らかに」に該当するか
の要件を判断するという論理です
つまり、
1.「(公共の福祉を害する)何条の何」に違反したと特定した上で
2.それが「著しく」「明らか」かどうかを判断する
のが適切な運用です
同様の解釈は東京高裁、最高裁で判示されています
・東京高裁(平成7年12月19日判例タイムズ894号43頁)
→「法令に違反」の「法令」を「刑法等の実定法規〜」に絞っている
・最高裁(上記決定の上訴審)
→宗教法人法の解散命令は「会社の解散命令(商法58条)と同趣旨」と解釈
会社解散事由=刑罰法令違反に限定
このような判示を見ても、法81条1項1号で示された「法令」は限定的なものだと分かります
つまり、「法令に違反」というのは「実定法規」で定められた「禁止規範、命令規範」に違反することを指しているということです
民法709条の「賠償規範」ではありません。
まして文科省の「民事法上の規律や秩序」などという不明確な概念は「法令」ではありません
家庭連合信者の不法行為事案と解散処分のバランス
最後に、文科省が行おうとしている処分について見ていきます
文科省は、法令違反の中には、「民事法上の規律や秩序が含まれている」と主張しています。つまり、「公共の福祉を害する私人間の違法行為(民法709条以下)」も法令違反に該当すると言っているということです
不法行為の階層的規範構造について説明しましたが、
最高裁平成9年判決では民法の不法行為について
「賠償規範であり、加害行為の一般予防、制裁、抑止が目的ではな」く、その効果は禁止規範、命令規範である「刑事上又は行政上の制裁に委ねている」
と述べています。つまり
民法709条は権利・利益侵害(=不法行為)に対する「損害賠償」責任を負わせるものであり、懲罰、制裁といった運用は目的ではない
一方で法人解散命令というのは、会社の解散命令と同様で、「法人格」を失わせる最も重い処分です
文科省は解散命令という懲罰的、究極的な処分を下そうとしていますが、損害賠償責任を定めた民法709条にはこうした「懲罰、制裁」という目的はありません
その上、文科省は、具体的にどの法令に違反したかも特定しないままです
禁止規範、命令規範の「何条の何」に違反したかを特定せず、賠償規範でしかない「民法の不法行為」に基づき、法人解散命令という最も重い処分をしようとしているのが今回の質問権行使であり、解散命令請求です
どう考えても釣り合わない処分です
結論:政府及び文科省は、薄弱、不明な根拠と杜撰な条文解釈に基づいて処分をしようとしている
以上のように、政府・文科省は、条文の解釈を誤り(もしくは曲解し)、薄弱、不明な根拠によって質問権行使及び解散命令請求をしています
私の個人的な意見ですが、マスコミ、メディアであることないこと報道することは家庭連合の名誉毀損にあたると思います。
しかし今回の質問権行使や解散命令請求は政府主導によって家庭連合のイメージを著しく傷つけています。解散命令が出ないとなった場合、貶められた名誉や信徒達への嫌がらせや攻撃に対して国家賠償の対象になるのではないでしょうか
政府や文科省は振り上げた拳をもはや下げられなくなっているのでしょう。司法の場で決着をつけるしかないのかもしれません
真実が明らかになり、現在が過去の歴史になっていった時、大きなしっぺ返しを受けることになると思います。その責任を子孫に負わせないよう、私は学んだみ言と信仰で、ひたすら心を尽くして愛を実践し、祈りを捧げたいと思います
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